教育DX お役立ちコラム

教育の「今」と「これから」を、ICT・教育DXの視点からわかりやすく解説します。

【第17回】生成AIに入力してよい情報・いけない情報

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前回、「Geminiアプリはコアサービスとして、チャットやアップロードしたファイルが学習やレビューに使われない」という現在の保護の仕組みを整理しました。ただし、そこで1つの宿題を残していました。「保護されている」ことと、「何を入力しても問題ない」ことは、別の話だという点です。

今回は、学校現場で実際に相談を受けやすいプロンプト(生成AIへの質問・指示文)を例に、入力してよい情報・避けたほうがよい情報の線引きを整理します。

「保護されている」=「何でも入力していい」ではない理由

Google Workspace for EducationのコアサービスとしてのGeminiは、チャットの内容がAIモデルの改善や人によるレビューに使われない、という保護のもとで提供されています。これは重要な安心材料です。ただし、それとは別に押さえておきたいリスクが残っています。

利用状況は管理者から確認できる場合がある

Google Workspaceでは、Geminiを含む生成AI機能の利用状況を監査ログとして確認できる仕組みがあります。誰が、いつ、どの機能を利用したかなどを管理者が確認できる場合があります。ただし、標準の監査ログでプロンプト本文そのものをそのまま閲覧できる、という意味ではありません。

画面共有や誤送信のリスクは変わらない

授業中の画面共有、提出物への貼り付けミスなど、入力後の「うっかり漏えい」のリスクは、生成AI固有の保護とは関係なく存在します。

「入力する習慣」は他のサービスにも持ち越される

学校のGoogle Workspaceでは保護されていても、児童生徒・教職員が個人のスマートフォンで別の生成AIサービスを使う際には、同じ保護が適用されるとは限りません。「何を入力してよいか」の感覚そのものを養っておくことが重要です。

判断の軸になる「要配慮個人情報」

「個人情報っぽいものは何となく避ける」だけでは基準があいまいになりがちです。1つの目安として、個人情報保護法が定める要配慮個人情報という区分を押さえておくと、判断がしやすくなります。

学校現場では、健康診断票、生徒指導記録、不登校対応の記録などに、この要配慮個人情報が含まれていることが少なくありません。「氏名」だけでなく、こうした要配慮個人情報が具体的に紐づいた形で入力されていないかが、1つの判断ポイントになります。

「一般化」すれば相談しやすくなる

氏名や具体的な出来事を取り除き、個人を特定しにくい形に一般化することで、生成AIへの相談自体は続けられます。「〇〇さんが不登校で…」ではなく「小学校高学年で不登校傾向にある児童への声かけの工夫」のように一般化するイメージです。ただし、情報を一般化しても、学校名・学年・出来事の組み合わせなどから個人を推測できる場合は、引き続き個人情報として扱う必要があります。

なお、注意が必要なのは要配慮個人情報だけではありません。氏名・住所・電話番号・学籍番号・成績なども個人情報です。要配慮個人情報はあくまで「その中でも特に慎重な取扱いが必要な情報」の例として捉えてください。

学校現場のプロンプト、3つの目線で整理

生成AIは、教材作成や指導案のブラッシュアップなど、学校現場でもさまざまな場面で活用できます。一方で、児童生徒に関する情報を入力するときは、どのような情報を、どのような形で入力するかを考えることが重要です。

そこで、学校現場でのプロンプトを、入力する情報の内容から3つに整理してみましょう。

避けたい入力

氏名・学年などの識別情報と、病歴などの要配慮個人情報や、家庭環境・生徒指導上の詳細な経緯といった機微な情報を、そのままの形で組み合わせて入力すること。(例:「〇年〇組の△△さんが、家庭の事情で…」のような具体的な記述)

一般化したうえで慎重に扱う入力

個人を特定しにくい形に一般化したうえでの相談。(例:「小学5年生で学習意欲が下がっている児童への声かけの工夫を教えて」)ただし学級規模が小さい場合など、一般化しても周囲には推測できてしまうケースがある点は注意が必要です。

問題になりにくい入力

教材作成の相談、一般的な指導案のブラッシュアップ、すでに公開されている情報の要約依頼など、個人を特定する情報を含まない内容。

この3分類はあくまで目安です。実際にどこまで許容するかは、入力する情報の種類・学校や教育委員会が定めるルール・利用しているサービスの契約条件によって変わります。「絶対に入力してはいけない」と一律に決めつけるより、迷ったときに立ち返る判断基準を先生方の間で共有しておくことが現実的です。

ルールづくりだけでなく、「実際の利用状況」も確認する

「何が入力されているか」を先生・管理者が把握できていますか?

子どもたちがGeminiとどのようなやり取りをしているかを、先生・管理者が把握しやすくするGemini可視化ツールをご提供しています。クラス全体の活用傾向の可視化や、個人情報が含まれていないかの確認に役立ちます。具体的な機能範囲・確認できる情報の粒度・保存期間などは提供条件によって異なりますので、詳細はお問い合わせください。「ルールは作ったが、実際に守られているか分からない」という段階からのご相談もお気軽にお寄せください。

今日の「5分でチェック!」

入力情報の線引き確認をしてみましょう

「固有名詞や具体的な識別情報を外してから聞く」ことが、教職員間の共通ルールになっていますか?

生成AIへの入力内容について、ルール違反や不適切な情報入力を把握・確認するための運用や仕組みがありますか?

教育委員会・学校のガイドラインに、入力してよい情報の目安が明記されていますか?

Google Workspace管理者が、生成AI機能の利用状況を監査・確認できる仕組みを把握していますか?

チェックが少ない項目が、今の優先課題です。こうした線引きの多くは、教育委員会が定める生成AIガイドラインの中に判断基準として組み込まれています。次回は、このガイドラインを実際にどう読み解けばよいかを見ていきます。

この記事の著者

ウィンバード 教育DX準備室
ウィンバード 教育DX準備室
教育DXパッケージ 推進担当。 これまで全国の学校で数百回におよぶ設定支援や講習会講師を務めた経験を持ち、現場目線での課題解決が得意。 「導入して終わり」にさせない、運用定着までを見据えた実務的なアドバイスを心がけている。 保有資格: ・Google 認定教育者 Level 1 & 2 ・Professional ChromeOS Administrator ・Professional Chrome Enterprise Administrator

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