【第16回】Geminiは学校で使っていいの?~生成AIの基本を整理~

「Geminiって、結局うちの学校で使っていいんですか?」——ここ最近、この質問を教育委員会や学校の先生から受ける機会が増えました。結論から言うと、以前は18歳未満の児童生徒が学校用アカウントでGeminiアプリを使うことはできませんでしたが、今は条件付きで「使える」に変わっています。まずはその前提となる、生成AIの基本を整理します。
前回(第15回「パスワードを一本化する~SSOとIDaaSとは~」)までで、SSO・IDaaSといったID・認証の基盤を整理してきました。こうした「安全にログインし、利用者を適切に管理できる土台」を整えることは、その上で使う生成AIサービスを安全に活用するうえでも重要です。今回はその第一弾として、Geminiを中心に生成AIの基本を学校現場の言葉で整理します。
そもそも「生成AI」とは何か——検索エンジンとの違い
生成AIは、文章や画像などの新しいコンテンツをその場で作り出すAIです。「情報を探し出す」検索エンジンと、「情報を作り出す」生成AIでは、できることも注意点もまったく異なります。
生成AIの土台にある「LLM」
Geminiのような生成AIチャットサービスの多くは、LLM(大規模言語モデル)という技術を土台にしています。大量の文章データから「次にどんな言葉が続きやすいか」を学習した仕組みのため、もっともらしい文章を作るのは得意ですが、それが常に事実として正しいとは限りません。
「もっともらしい誤り」=ハルシネーション
生成AIが誤った内容を自信満々に答えてしまう現象をハルシネーションと呼びます。存在しない書籍を紹介したり、年号を取り違えたりすることがあり、これは現時点の生成AIに共通する限界です。「検索エンジンの延長」として鵜呑みにせず、重要な情報は一次情報で確認する習慣が欠かせません。
「学校で使っていいの?」への答えは、実は変わった
以前このテーマで質問を受けたら、「学校用アカウントでは、18歳未満の児童生徒はGeminiアプリを利用できません」とお答えしていました。しかし、この前提はすでに変わっています。
Gemini年齢制限の見直し
以前 | 現在 |
所在地Google Workspace for Educationの学校用アカウントでGeminiアプリを利用できるのは、原則として18歳以上のユーザーに限られていました。児童・生徒本人が直接使う想定にはなっていませんでした。 | Geminiアプリは、Education Fundamentalsを含むすべてのGoogle Workspace for Educationエディションで利用できるコアサービスに位置づけられ、教育委員会・学校のGoogle Workspace管理者が設定すれば、18歳未満の児童生徒にも利用を有効にできるようになりました。 |

「コアサービス」だから安心、とは言い切れない部分もある
コアサービスとしてのGeminiには、Google Workspace for Educationの利用規約に基づくエンタープライズグレードのデータ保護が適用され、チャットやアップロードしたファイルは人によるレビューや生成AIモデルの改善には使用されません。ただし、これは「自動的に全員が使える」という意味ではありません。利用を有効にするかどうか、年齢別にどこまで機能を開放するかは、教育委員会・学校のGoogle Workspace管理者の設定次第です。
一部の高度な機能は、年齢による利用制限あり
Google AI Pro for Educationは18歳以上が対象で、またGeminiの一部機能には年齢による利用制限があります。利用できる機能は今後も変更される可能性があるため、管理者は最新の年齢要件と提供状況を確認する必要があります。「Geminiが使えるようになった」と「すべての機能が誰にでも開放された」は、同じではない点に注意が必要です。
「使っていい」は「そのまま使わせていい」ではない
技術的・制度的に利用可能になったことと、教育現場でどう使わせるかは別の問題です。文部科学省の生成AIガイドラインでも、生成AIの特性を理解したうえでの活用が求められています。
ハルシネーションを前提にした使い方を教える
「Geminiの答えは常に正しい」ではなく、「参考意見の一つとして、自分で確認する」という向き合い方を、児童生徒にも教職員にも伝えておくことが出発点になります。
「何を入力していいか」は次回で詳しく
コアサービスとして保護が強化されているとはいえ、氏名や成績、家庭環境といった個人情報の入力可否は別の論点です。次回、この点を具体的に整理します。
「使っていいのは分かったけれど、何から整えればいいか分からない」とお困りの方へ
設定確認からご相談ください
Google Workspace管理者コンサルティングでは、Gemini機能の年齢別設定の確認から、教育委員会向けの生成AI利用ガイドライン策定支援まで伴走します。
ウィンバードは、Google for Education ソリューションパートナーとして、導入支援から活用定着まで伴走します。
設定確認からお気軽にご相談ください。
今日の「5分でチェック!」
生成AI活用の基礎確認をしてみましょう
チェックが少ない項目が、今の優先課題です。 「使えるかどうか」の技術的な話は今回で整理できました。次回は、生成AIにどのような情報を入力してよいのか、個人情報を扱う際に何を確認すべきかを、具体的な事例とあわせて見ていきます。
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