【番外編】(特典資料あり)全国学力調査のクロス分析から考える、1人1台端末の「次の使い方」

「調べる」で終わらない。情報を整理・分析し、考えを深める授業へ
1人1台端末が学校に定着し、授業の中でPCやタブレットを使うことは、もはや特別な取り組みではなくなりました。
文部科学省の全国学力・学習状況調査でも、ICT機器の活用状況や、児童生徒自身のICT活用に関する意識と学習状況との関係が分析されています。
では、端末を「使っている」ことと、端末を「学びに生かしている」ことは、同じなのでしょうか。
これからの教育DXを考えるうえで、重要になるのは、この違いかもしれません。
端末活用は、すでに「使うかどうか」の段階を越えている
令和8年度の全国学力・学習状況調査では、タブレットなどのICT機器を「ほぼ毎日」または「週3回以上」活用している学校の割合は、小学校95.4%、中学校93.5%に達しています。
つまり、多くの学校にとって、いまや「ICTを授業で使うこと」そのものが課題なのではありません。
次に問われているのは、
「端末を使って、子どもたちは何をしているのか」
ということです。
検索する。
写真を撮る。
スライドを作る。
文章を入力する。
こうした活動は、端末を活用した学習の入口として、とても重要です。
しかし、そこで学習が止まってしまえば、端末は単なる「便利な道具」で終わってしまいます。
集めた情報を整理する。
複数の情報を比較する。
必要な情報を選ぶ。
そこから自分の考えをつくる。
そして、友達の考えと比べながら考えを深める。
端末の価値は、こうした「その先の思考」を支えられるかどうかにあります。
文部科学省のクロス分析から見えてくること
令和7年度の全国学力・学習状況調査では、「ICT機器を使って情報を整理できる」という自信と、「学んだことを生かしながら自分の考えをまとめる活動」との間に、一定の相関が見られました。
相関係数は小学校0.415、中学校0.348です。
一方、令和8年度の調査でも、ICT活用に関する質問と学習状況・学力との関係について分析が行われています。令和8年度報告書では、クロス分析について「因果関係を示したものではない」と明記されているため、こうしたデータは「ICTを使えば学力が上がる」という単純な因果関係ではなく、どのようなICT活用と学びの姿に関連が見られるのかという観点から読むことが重要です。
「検索」から「整理・分析」へ
たとえば、社会科で地域の人口について調べる授業を考えてみましょう。
「地域の人口を検索してください」
これだけなら、子どもたちは検索結果を見つけ、必要な数字をコピーして、スライドに貼り付けることができます。
しかし、それだけでは「調べた」で終わってしまいます。
そこで、問いを一つ変えてみます。
「複数の資料を比較すると、この地域の人口にはどんな特徴があるでしょうか?」
すると、子どもたちは情報を集めるだけでなく、
どの情報が必要なのかを考える
数値やグラフを比較する
共通点や違いを見つける
そこから仮説を立てる
自分の考えをまとめる
他者の考えと比較する
という活動へ進んでいきます。
ここで端末は、「答えを探すための道具」から、「考えるための環境」へ変わります。
もう一つの課題は、先生の「見取り」
とはいえ、授業をこう変えていこうとすると、先生方の負担も増えてしまいます。
子どもたちが端末上で何を調べているのか。
どんな資料を見つけたのか。
どこまで考えが進んでいるのか。
困っている子はいないか。
それぞれの画面を一人ひとり確認しながら授業を進めることには、時間的な限界があります。
しかも、先生が画面の確認に追われれば、その分だけ、子どもとの対話や、考えを深めるための声かけに使える時間が減ってしまいます。
だからこそ、これからの授業支援では、単に「端末を管理する」だけではなく、子どもたちの学習状況を効率よく見取り、必要な場面で授業に介入できる環境が重要になります。
「見取り」を効率化すると、授業の時間の使い方が変わる
1人1台端末を活用した授業では、すべての子どもの画面を細かく確認する必要はありません。
むしろ、「今、どの子の考えを取り上げると、クラス全体の学びが深まりそうか」という視点で画面を見取ることができれば、先生の役割は変わります。
Win Bird 授業支援 for Chrome / Edgeでは、児童生徒のデスクトップ画面をリアルタイムで確認できるほか、画面提示・発表、URL転送、画面比較など、授業中の「見取り」と「共有」を支える機能が用意されています。
たとえば、子どもたちがそれぞれの端末で考えている時間に、先生が全体の状況を把握する。
そのうえで、授業の流れに応じて特定の考えを取り上げ、クラス全体で共有する。
そうすれば、端末は「個別作業のための道具」ではなく、一人ひとりの考えを持ち寄り、対話を生み出すための環境として機能します。
教育DXの次のテーマは、「端末を増やす」ことではない
GIGAスクール構想によって、1人1台端末という環境は整いました。
これからのテーマは、その環境をどう授業に生かすかです。
「端末を使う授業」から、「端末だからこそできる授業」へ。
検索するだけではなく、情報を整理する。
まとめるだけではなく、比較する。
一人で作業するだけではなく、互いの考えを見て、対話する。
先生はすべてを一人で見回るのではなく、ICTを活用して子どもたちの学びを見取り、必要な場面で支援する。
こうした授業設計を考えることが、1人1台端末の「次の活用」につながっていくのではないでしょうか。
令和8年度の全国学力調査を授業改善のヒントに
令和8年度の全国学力・学習状況調査では、8月3日に全国データに基づく分析結果が公表されました。今後、都道府県・指定都市別のデータに基づく分析結果や、教育委員会向けの分析ツールの提供も予定されています。
全国学力調査は、単に「平均点を見るための調査」ではありません。
どのような学習活動が行われているのか。
児童生徒は、どのようにICTを使っているのか。
そして、そこでどのような学びが生まれているのか。
データを授業改善につなげて考えることで、1人1台端末の活用も、次のステージへ進められます。
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